阿比留記者が行く

埼玉5区 坂の上に雲はありやなしや

 「(5区で挑戦して)10年目にして、初めて小選挙区で勝たせてもらいたい」

 牧原氏が10日の街頭演説でこう訴えたのも、ある程度手応えを感じているからだろう。選挙戦ではこの10年間毎日駅頭に立ってきたことや、国会まで選挙区から電車通勤している「地元密着ぶり」をアピールし、都内の議員宿舎で暮らす枝野氏との差別化を図る。

 一方の枝野氏も10日、JR大宮駅前で民主党の福山哲郎政調会長を招いて並んで街頭演説を行った。当初は幹事長としての応援演説があるため、公示後は選挙区入りは控える予定だったが、情勢に危機感を覚え可能な限り入るようにした。

 「私がこの21年間、常に戦ってきたのが税金の無駄遣いだ。安倍首相は選挙をやらなくたって困らないのに、600億円を超える税金を使って衆院選を行った。あぜんとする思いだ」

 枝野氏は聴衆にこう強調した。ただ、自身が繰り返しテレビ番組などで「私が安倍首相ならこの秋に(衆院解散を)やる。(臨時国会の)冒頭かもしれない」(9月21日)「早く解散してくれるなら、こんなにありがたいことはない」(10月25日)と挑発してきたことは忘れているようだ。

 「皆さんのアベノミクスの恩恵を受けていないという実感は正しい。選挙が終わってから『こんなはずじゃなかった。野党頑張れ』と言われても、与えられた議席でできることしかできないんです」

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