衆院選の最大のテーマは何と言っても、安倍晋三政権の経済成長を軸にする経済政策「アベノミクス」の是非だ。その点で最も注目されているのが、「民主党政権下で死にかけた日本経済をリハビリする」と訴える自民党の牧原秀樹前環境政務官と、対照的に「人口減少社会で経済成長は難しい」と説く民主党の枝野幸男幹事長が大接戦を繰り広げている埼玉5区だ。
民主党は海江田万里代表(東京1区)の苦戦が伝えられており、党ナンバー2の枝野氏までが敗れれば、党の存在意義そのものが問われかねない。
「ここで勝てるかどうかは、安倍政権の経済政策が強く前に進んでいけるかどうかの試金石だ」
牧原氏の選挙応援に駆け付けた自民党の新藤義孝前総務相は10日、さいたま市大宮区の氷川神社前でこう訴えた。9日に5区入りした安倍首相も「この選挙区はこの戦いの象徴だ」と指摘し、5日に入った菅義偉官房長官も「この選挙区で勝つことが、アベノミクス推進の象徴となる」と呼びかけている。
埼玉5区はもともと、枝野氏が5期連続当選を果たした「金城湯池」だった。牧原氏は平成21年の衆院選では約4万5000票の差をつけられたこともあったが、今回は「マラソンに例えると、今まで背中すら見えなかった民主党のエース、枝野氏を初めてとらえた」(牧原氏陣営)という。