昔のカルテが見つけられず、障害年金を受けられないケースが問題になっている。障害年金を受けるには原則、病気が分かる前に保険料を納付している必要がある。だが、糖尿病など、最初に診断されてから障害状態になるまでに長い時間が経過する慢性疾患が増え、受給に必要な初診のカルテを探しきれない事例が増えているからだ。「10年も20年も前の書類を求めるのは妥当なのか」との声が上がっている。(佐藤好美)
東日本に住む40代の男性は20代のころ、糖尿病と診断された。当時は会社員で給料も良かった。だが、「10人入社して、8人がやめてしまうような過酷な職場」(男性)。結局、続けることができず、会社を辞めた。
それでも、若いときは体の状態も悪くなかった。激務の職場を辞めた後も、別の会社で契約社員として働き続けることができた。だが、数年前、糖尿病が原因で失明寸前に。治療を受けて視力は回復したが、その後、腎機能が低下し、透析を開始した。