滋賀県長浜市で今年10月、小学2年の男児が自宅の居間で腹を鎖で縛りつけられているのが見つかった。鎖の端は柱につながれ、男児は少なくとも約4時間半にわたって半径1.5メートルほどの範囲しか身動きできない状態で、周りには排泄(はいせつ)用のおまるが置かれていた。逮捕監禁容疑で逮捕されたのは、男児の両親だった。ところが、父親は初公判で「子供が『鎖でくくって』と言った」と言い放ち、無罪を主張している。市教委などは約1年半も前から児童虐待の疑いを持ちながら、結局は悲劇を見抜くことはできなかった。(桑波田仰太)
同級生の悲痛な訴え、ネグレクト発覚
悲劇の現場を見つけたのは、男児の同級生たちだった。
今年10月8日午後3時半ごろ、男児方付近の路地で小学生10人ほどが集まっているのに近くの男性(66)が気づいた。男性が近寄ってみると、子供たちが「おっちゃん、友達が鎖でつながれているんや」と悲痛な表情で訴えてきた。子供たちに案内されるまま男児方に入ると、居間で男児が鎖につながれた状態でぐったりと座り込んでいるのを発見した。
男性はあわてて110番通報し、男児を助けようとしたが、南京錠で止められた鎖が男児の腹に食い込み、なかなか外せない。男性は自宅から持ってきた工具で、やっと切断した。
男児に大きなけがなどはなかったが、衰弱していたために病院に搬送。その後は、児童相談所にあたる県彦根子ども家庭相談センターに保護されている。