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飲食店チェーンを経営する「サン・チャレンジ」(東京都渋谷区)が首都圏で展開するステーキチェーン「ステーキのくいしんぼ」の店長だった男性=当時(24)=の自殺の原因が、過酷な長時間労働とパワーハラスメントにあるとして両親が同社側に損害賠償を求めた裁判で、東京地裁は11月、同社側に約5790万円の賠償を命じた。判決では、自殺の理由を「パワハラや長時間労働以外にはない」と断じている。ほぼ休日がない中での暴行、暴言、使い走り、私生活への介入…。判決からは、悲惨な勤務実態が浮かび上がる。
しゃもじで殴り、朝礼でさらし者に
判決などによると、男性は平成19年5月にアルバイトとして採用された。きっかけはサン・チャレンジに勤務していた父親に誘われたためだ。男性は間もなく正社員となったが、父親は約2年後、同社の方針に疑問を感じて退社。男性は「もう少し頑張ってみる」と残った。だが、男性は渋谷センター街店の店長だった22年11月、遺書を残して、店舗が入るビルの非常階段で首をつった。
判決は、男性に対しての暴言や暴行が、遅くとも入社1年もたたない20年2月にはあったと認定している。パワハラをしていたのは同店など複数の店舗を指導する「エリアマネージャー」の男性。自殺した男性の上司にあたる。判決で認定されたパワハラは、多岐にわたっている。