衆院解散風

解散に大義あり  安保政策で「民主主義」を問うべきだ 

 10月26日に亡くなった外交評論家、岡崎久彦氏に生前、何度かインタビューした。その際、岡崎氏が繰り返し強調したのが「集団的自衛権の行使が可能になれば、日米同盟は強化され、日本の安全はそれだけ高まる」ということだった。

 岡崎氏は7月1日、行使容認の閣議決定後、安倍晋三首相が記者会見するもようをテレビ中継で見ながら「35年間、戦い続けてきた目的が達成された」と涙ぐんだという。閣議決定を「安倍不条理劇場」と名付けたのが朝日新聞だった。朝日は7月2日付社説で「日本の民主主義そのものが、いま、ここから問われる」と、首相批判を展開した。

 その朝日は、首相が衆院解散・総選挙に踏み切ろうとしていることに対し、今月12日付の社説で「党利党略」とし「民主主義はゲームではない。こんな解散に大義があるとは思えない」と断じた。

 そうだろうか。選挙は民主主義の根幹であり、国民が政治に参加する最大の機会である。ならばここで朝日のいう「民主主義」を問おうではないか。

 首相の経済政策アベノミクスに注目が集まっているが、この選挙は、民主党政権の3年間と比較し、集団的自衛権をはじめ、首相が2年間推し進めた外交・安全保障政策を評価する絶好の機会だ。大義はある。

 16日に投開票が行われた沖縄県知事選では普天間飛行場(同県宜野湾市)の移設問題が最大の争点となった。もちろん政府は選挙結果を真(しん)摯(し)に受け止めて、地元への説明に一層努める必要がある。その一方で、外交・安全保障は国の専管事項であることを忘れてはなるまい。

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