【北京=矢板明夫】中国の習近平指導部は、「共産党員は宗教を信仰してはならない」という原則を改めて徹底する方針を固めたもようだ。党の規律部門を動員し、宗教を信仰する党員を全国で精査する見通しだ。キリスト教やイスラム教などの信者が増え、党中央の求心力が弱まっていることが背景にあるが、宗教を信仰する党員は少数民族や貧困層が圧倒的に多く、こうした組織浄化措置は民族対立などの社会矛盾を深刻化させる可能性をはらんでいる。
14日付の国際情報紙「環球時報」によると、習近平総書記は今年9月の中央民族工作会議で、「党員は宗教を信仰してはならない。宗教活動に参加してはならないとの規則を堅持すべきだ」と強調した。
党関係者によれば、党の規律部門は10月ごろから一部地域への「党員の宗教信仰状況」の調査チームの派遣を開始。宗教を信仰する党員に対しては除名など厳罰で臨む方針だという。
党員の中ではウイグル、チベットなどの少数民族を中心に、イスラム教やチベット仏教を信仰する信者が急増。沿海部の浙江省などで違法とされるキリスト教の地下教会の活動に加わる党員も多いという。