オバマ米大統領は習近平・中国国家主席と会談し、偶発的軍事衝突を避ける相互連絡システムの構築で一致した。
中国軍機・艦船が米軍機・艦船への異常接近を重ねる中、衝突回避体制の整備は急務だ。日中首脳会談でも合意した同様の仕組みづくりの手本となってほしい。
会談全体では、習主席の強硬姿勢にオバマ氏が後退した印象が否めなかった点は残念だ。
温室効果ガスの削減目標値の設定でも合意した。米中は二酸化炭素の2大排出国だ。遅きに失したとはいえ、国内の抵抗を乗り越えて目標を達成してもらいたい。
軍事衝突リスクはそもそも、中国が東シナ、南シナ両海で領有権を振りかざし、国際規範を無視し、力任せの海洋進出を図っていることに起因する。
だが、オバマ氏は会談を総括した共同記者会見で「航行の自由」を米国益と位置付け、領有権争いに関しては国際法による平和的解決を訴えるにとどまった。「尖閣」も口にせず、中国が東シナ海に一方的に設定した防空識別圏の危険性にも言及しなかった。