島が危ない 赤サンゴ 迫る群影(2)

中国密漁船に囲まれる小笠原・父島「島が乗っ取られる」…生態系破壊し、ゴミで海を殺す中国船

 小笠原村は再三、政府に対策を求めている。渋谷さんは「何かあってからでは本当に遅い。警備を強化してほしい」と訴える。

漁具・ペットボトル

 異変が、じわりと島にも押し寄せている。海中の美しさで知られる父島の北にある釣(つり)浜(はま)。「和其…」「百…水」。波打ち際には、海から流れついた中国語のラベルが貼られたペットボトルや漁具などが散乱する。

 「中国漁船の乗組員は平気で海に物を投げている。歯ブラシやペットボトルを笑いながら捨てる様子を見た」。地元漁師の石井勝彦さん(62)は証言する。

 小笠原諸島は貴重な自然であふれ、世界自然遺産に認定されている。サンゴの密漁が続けば、自然環境や生態系にも影響を与える可能性もあり、主力の観光が打撃を受ける恐れがある。

 中国漁船が大挙した10月中旬、観光の目玉でもあるイルカの姿が見られなくなったことがあったという。自然ガイドの竹澤博隆さん(41)は「中国漁船の影響かどうかは不明だが、イルカやクジラを見ても避けることなく、お構いなしに航行するのが中国漁船。悪影響を与えているのは間違いない」と唇をかむ。

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