2020年の東京五輪・パラリンピック開催を控え、訪日外国人の増加が予想される中、日本語のできない外国人が、医療機関で安心して治療を受けるために不可欠な「医療通訳」の充実を図る動きが進んでいる。9日には国際的な医療通訳者の団体が東京都内でシンポジウムを開き、医療通訳の認定試験制度の創設を発表する予定で、厚生労働省も、医療通訳の拠点病院をはじめとした態勢整備を急いでいる。
需要は増加へ
東京・新宿の国立国際医療研究センターでは平成5年に「国際」が病院名に入って以降、外国人患者を積極的に受け入れてきた。だが、院内すべての医療従事者が語学に堪能なわけではない。
「ニーズの多い英語、中国語、韓国語、ポルトガル語、スペイン語は、電話通訳で対応できるようにしている」と原徹男副院長(57)。電話通訳できない言語は、世界各国で医療援助などを行う同センター国際医療協力局の専門家に助けを求めることもある。
原副院長は「今後、東京五輪の開催などに伴い、国内で受診する外国人の患者は増加し、あわせて医療通訳の需要は増加するだろう」と指摘。一方で、間違えれば命に関わる仕事だけに質も求められ、「今後を考えると態勢整備は急務だ」とも話す。