津軽海峡に面している風間浦(かざまうら)村特産のアンコウが「風間浦鮟鱇(あんこう)」として地域団体商標に登録された。アンコウが地域団体商標として登録されたのは全国で初めて。地域ブランドとして他地域の商品などと差別化が図られ、付加価値の向上が期待されることから、関係者は「さらなる知名度アップや地域活性化につなげたい」と意気込む。(福田徳行)
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同村のアンコウの漁獲の最盛期は12~3月。魚の通り道に網を仕掛ける刺し網や、餌をつけた縄をつなげて横に張るはえ縄と呼ばれる漁法で獲るため、ほとんどが生きたまま水揚げされる。
さらに、アンコウのストレスを取るため水槽で一晩寝かせた後、頭に針を刺して締める「活締め」を行うことから鮮度が良いのが特徴で、定番の鍋料理のほか、あん肝も刺し身で味わうことができる。
昔はアンコウの胃の中にヒラメなどの高級魚が入っていたことから、漁業者は胃袋を「お楽しみ袋」と呼ぶなど、村では古くから親しまれている。村産業建設課によると、平成24年度の水揚げは約82トン、昨年度は約87トンと県内でも2位の漁獲量を誇り、資源管理のため2キロ以下のアンコウは放流している。
生きたまま水揚げされるアンコウを地域ブランドとして確立しようと下風呂(しもふろ)、易国間(いこくま)、蛇浦(へびうら)の3漁協が昨年3月に特許庁に地域団体商標の登録を申請していた。地域団体商標は地域の特産物や特色あるサービスなどを地域ブランドとして保護することで、地域おこしにつなげようと、国が平成18年度に導入した制度だ。
アンコウが登録されたことについて、蛇浦漁協の山本公明(きみあき)業務主任は「単価も徐々に上がっており、関係団体が一体となって知名度アップを図っていきたい」と話す。村では毎年、冬場に「鮟鱇まつり」を開いているほか、下風呂温泉郷の旅館、ホテルでアンコウのフルコースを提供するなどのサービスを行い、知名度の向上に努めてきた。同課の伊勢貴治主幹は「冬季の観光資源として今後、漁協などと連携しながら誘客と漁業の活性化につなげていきたい」と語った。
東北経済産業局によると、東北の地域団体商標の登録件数は計38件。このうち県内では「風間浦鮟鱇」を含め、田子町産の「たっこにんにく」や大間町の「大間まぐろ」、大鰐町の「大鰐温泉もやし」など計6件が地域団体商標に登録されている。