最優先の課題は罰則の強化である。逮捕された密漁船の船長が釈放時に払う担保金(罰金)が密漁のもうけと比べて低いことも、犯罪の抑止効果を減じている。金額引き上げや漁船押収なども含め、実効性ある対策が急務だ。
海上保安庁は取り締まり強化のため、大型巡視船や航空機を集中的に投入した。しかし、息の長い警戒監視には、海保の増強や関係省庁の協力も不可欠である。
小笠原諸島は、中国海軍が進出をはかる第2列島線にあたる。中国漁船の予想外の急増は、手薄になりがちな太平洋方面における日本の海上警備態勢を試す意図があると懸念する声も、政府・自民党内に出ている。
同諸島自体は世界自然遺産に指定されているが、周辺海域のサンゴも日本の貴重な自然である。海洋の自然保護の観点からも、日本は関係国と協力して中国にルールの尊重を迫るべきだ。