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流れすぎる「流れ橋」木造で再建方針 流出抑制へ課題残る

 「流れ橋」を流れないようにするためにはどうすべきか。木津川にかかり、八幡市と久御山町を結ぶ国内最長級の木橋・上津屋橋、通称「流れ橋」。近年のあまりの流されぶりに、撤去も含めた抜本的な見直しも検討するとした府だが、府が設けた検討委員会は、結局は現行通り木造橋として再建する方針を固めた。府もこの方針を支持する構えだが、流出を抑制する工夫はどうするのかなど課題が残ることになった。

 ◆設置直後から被害

 全長357メートル、木橋としては、国内最長級の上津屋橋の特徴は、その防災についての考え方にある。昭和28年の建設当初、頑丈な橋を造る予算がないという背景もあり、限られた予算の中で、洪水時の川の流れを阻害しないという観点から、橋脚と橋板の二部構造で造られた。厚さ7・5センチ、幅20センチの木製の橋板は橋脚に固定されておらず、乗せられているだけ。水位が上昇すると、橋板は川に流されるが、下流に流れた橋板を回収するか、新しい橋板を設置すれば、再利用が可能できるというわけだ。

 実際、設置直後の昭和28年8月には、さっそく流出したという記録が残る。

 流出ごとに修復されてきたが、これまでに21回流された流れ橋。昨年9月の台風18号による流出では、今年4月23日に開通したものの、3カ月半後の8月には再び流出し、関係者を落胆させた。上津屋橋は府道にあたるため、復旧費についても、府が全額負担してきたが、23年度は5千万円、24年度は3540万円、25年度は3610万円にのぼる。全壊した橋の修復費用としては破格の安さとはいえ、毎年となれば話は違ってくる。

 今年8月に現地を視察した山田啓二府知事は、ついに「(毎年修理を繰り返す)今の方式はもう限界」と判断、撤去も含めゼロベースで見直す方針を打ち出し、検討委員会を立ち上げた。

 ◆決定的な策は出ず

 しかし、検討委員会では、「景観は残すべき」「再建費用の地元負担はできないか」など全面撤去には否定的な声が上がったほか、オブザーバーとして参加した地元関係者からも「地域以外の方からすると無駄遣いに思われるかもしれないが、木橋で復旧してほしい」と要望が出た。また、府に寄せられた府民の意見98件のうち、流れ橋の構造を保ったまま、木造橋として再建すべきという意見は約6割にあたる63件にのぼった。

 木津川のゆったりとした流れと、木造の長い橋が醸し出す風情ある景観から、人気は高く、数は減ったが、時代劇全盛期には多くのロケにも使用されてきた。観光地としても知られており、地元としては撤去に同意するわけにはいかないという実情があった。

 これらの意見を受け、検討委員会も、今月14日の委員会で、上津屋橋を木造橋として復旧する方針を決定した。一方で流出を抑制する工夫も必要になる。委員会ではコンクリート杭を使ったり、橋を現在より2メートル高くしたりするなどの案が出されたが、決定的なものはでず、来月開かれる次回委員会に持ち越された。

 府は、委員の意見を盛り込んだうえで、木造橋を軸とする再建案を、委員会に再度提案し、年内にも結論を出す方針。来年度中には橋の復旧を完了させたいとしている。

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