衝撃事件の核心

1時間で利益100万円、禁断の錬金術「見せ玉」…早大OBが巧妙化させた木の葉を隠すなら森の中

 次に、同じオリコ株で取引価格より下値の買い注文を約50万株入れた。すると今度は売りの時とは反対に、株価がその値まで達した段階で大量の買いが成立することになるため、「この銘柄は当分、値下がりしない」との見通しが広がる。値下がりの危険性が少ない銘柄は当然、人気となり、売りよりも買いが先行する状況に。株価は1~4円程度上昇した。このタイミングで先ほど買い付けた58万株を売り抜け、直後に先に出した買い注文を取り消す。100万円前後の利益が確定した。

 一連の取引は1時間にも満たない時間で行われた。まず、大量の売り注文を出すことで、他の投資家に売り注文を出させて株価を下げ(売りの見せ玉)、安値で株を買い付ける。さらに買い注文を大量に出して株価を上昇させ(買いの見せ玉)、先に買い付けた株を売り抜ける。これらは他の投資家を欺いて利益を得る悪質な行為だ。

必ず痕跡は残る

 ここで一つの疑問が浮かぶ。最初に行う「売りの見せ玉」を行うときに出す大量の売り注文は、実際に大量に株を持っていないと出せないのではないか。

 今回の事件で2人を東京地検特捜部に告発した証券取引等監視委員会の関係者が打ち明ける。

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