経済インサイド

LINE上場「先送り」で囁かれる「コンプライアンス上のリスク」という裏事情

 実際今年に入り、2ちゃんねるを運営する海外法人はまとめサイトへの転載を全面禁止すると表明。また8月には、ライブドアブログの人気まとめサイトの運営者を相手取り、名誉毀損(きそん)で損害賠償を求める訴訟が起こされた。

 判決によっては「名誉毀損の書き込みを放置した」としてLINE傘下のライブドアが責任を問われる恐れもあり、同アナリストは「こうしたトラブルの芽を上場前に解消することが不可欠だ」と指摘する。

 上場を延期するもう一つの理由は「マーケット環境の変化だろう」とみる。

 7月16日、米連邦準備制度理事会(FRB)のイエレン議長が、ソーシャルメディア銘柄の株価水準が過大評価されているとの見方を示し、フェイスブックなどが値を下げる一幕があった。また好調とされてきた米国の景気に対し、夏以降は慎重な見方が広がりだした。

 LINE側も、株式市場の上昇局面を狙って上場したいのが本音のはずだ。

セキュリティーの懸念も

 逆風はそれだけでない。

 今夏にかけ、LINEのアカウントが中国人とみられる何者かに乗っ取られ、電子マネーをだまし取る詐欺行為に悪用された騒ぎは記憶に新しい。本人認証の強化で収束へ向かったが、9月には台湾総統府が「セキュリティー上の懸念がある」として、業務コンピューターでの使用を禁じた。

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