衝撃事件の核心

「日本にいても自殺するだけだから」オウム再来の如きイスラム国「戦闘員志願」事件…高学歴「厭世観」が背景に

 イスラム教スンニ派過激組織「イスラム国」の戦闘員に加わろうと、北海道大学の男子学生(26)=休学中=がシリア渡航を企てた事件は、就職活動の失敗などで深めた厭世(えんせい)観が背景にあるとの見方が強まっている。北大生の周囲には複数の支援者が集まり、日本人戦闘員が誕生する可能性は十分にあった。捜査関係者からは、同じような厭世観から多くの高学歴者が入信して前代未聞の無差別テロを引き起こしたオウム真理教事件の再来を危惧する声も出ている。

「どうせ1、2年後に自殺するから…」

 「シリアに渡ってイスラム国に加わり、戦闘員として働こうと思った」

 今月6日、刑法の私戦予備・陰謀の疑いで関係先を家宅捜索された北大生は、警視庁公安部の任意の事情聴取に意図を明かした。

 北大生はその理由について、「就職活動がうまくいかなかったから」と説明。知人らには「どうせ1、2年後に自殺するから、シリアで死んでも変わらない」「イスラムに入信したがそれほど関心はない」などと話していたといい、背景にあったのは宗教や政治的な信念ではなく、現状への不満が無謀な行動の引き金になったとの見方が有力だ。

 北大生は公安部の任意聴取に「戦闘員になって戦うことになれば人を殺すつもりだ」とも話していた。

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