劇場型半島

「正恩」に会えず、最大理解者の後ろ盾機関も風前の灯火で「朝鮮総連」危機

 鳴り物入りで8年ぶりに北朝鮮を訪れた在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)の許宗萬(ホ・ジョンマン)議長は、最大の目的だった金正恩(キム・ジョンウン)第1書記との面会がかなわなかった。本国への投資や献金も思うように集まらず、後ろ盾だった指導機関もトップの健康悪化から存続すら危ぶまれる状況という。日朝協議の進展を起死回生のチャンスととらえてきた朝鮮総連指導部が想定外の危機に直面している。(桜井紀雄)

国賓級の歓待、滞在延長も…

 出発日の9月5日には、羽田空港の国際線出発ロビーに許氏の見送りに朝鮮総連関係者ら約100人が集まった。許氏は女性から手渡された花束を掲げて「行ってきます」と笑顔を見せ、関係者の拍手の中を祖国に向け旅立った。

 空港で記者団の取材にも応じ、日朝間の問題は「互いが信頼し合い、自主的に解決していくことが大事だ」と語った。朝鮮総連トップとして、この上なく誇らしい瞬間だっただろう。

 だが、今月7日の帰国時には様相が違った。羽田空港で朝鮮総連関係者には、にこやかに応対したものの、「金第1書記と会ったのか」という記者団の質問には明言を避け、金第1書記は「非常に健康だ」と説明。その後は記者の追及を避けるように、硬い表情ままその場を後にした。