露大統領の来日は来年 政府、今秋は断念 ウクライナ問題で

 政府は、今秋の実現を目指していたロシアのプーチン大統領の日本訪問を断念した。ウクライナ東部での和平の行方が不透明なことから、大統領来日は来年以降に持ち越しせざるを得ないと判断した。複数の政府関係者が明らかにした。北方領土交渉の進展に向けた日露間のハイレベルの政治対話の足踏みは避けられなくなった。

 政府関係者によると、安倍晋三首相は11月に北京で開かれるアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議に合わせたプーチン氏との首脳会談で「対話の継続」を再確認するにとどめ、大統領来日を事実上棚上げする見通しだという。

 プーチン氏の今秋の来日は、首相が今年2月にロシアのソチを訪れた際、日露首脳会談で合意した。しかし、3月のロシアによるウクライナ南部クリミア半島の併合以降、ウクライナ情勢をめぐる先進7カ国(G7)とロシアの対立が深刻化。4月に予定した岸田文雄外相の訪露は延期され、8月の日露次官級協議も中止を通告された。調整のメドが立たず、政府は今秋の大統領来日の環境は整わないと判断した。

 日本が米欧に歩調を合わせて対露制裁に踏み切ったことが、ロシア側に態度を硬化させる「口実」を与えた側面がある。外務省幹部は「ウクライナ情勢安定の実効性が確保できない限り、前へ進められない」と指摘。安倍首相は11月の日露首脳会談で、プーチン氏にウクライナ情勢の平和的解決を訴え、両国の政治対話再開への道筋をつけたい考えだ。

 政府関係者は「ウクライナの和平実現へ指導力を発揮できていないプーチン氏を日本に迎えても国益にかなう議論は望めない。北方領土問題は中長期的な課題であり、焦っては何も進まない」と話している。