外信コラム

千夜一夜 エジプト人の交渉力

 エジプト人といえば、商魂たくましいアラブ人の中でもとりわけ、したたかなことで知られる。最近は定価表示も定着してきたが、市場や観光地の土産物店ではふっかけてくるのが当たり前。そこからが本格的な交渉スタートとなる。

 先日、エジプト人の若者たちに交じってバレーボールをする機会があった。試合は一進一退。7対7の場面で私のチームにミスが出てリードを許してしまった。

 とそのとき、相手チームのメンバーが、「よし、これで9対5だ!」とサーブを打とうとした。「えっ?」と一瞬、耳を疑った。当然、こちらからは口々に抗議の声が上がる。

 ところが、わがチームメートの中に「そんなはずはない。こっちが8対6で勝っているはずだ!」と主張する者が出てきた。またまた耳を疑った。そこからは、今のプレーが何点目だったのかをめぐり、両チームとも一歩も引かない論争、いや交渉だ。

 結局、直前は同点だったということで双方が妥結し、なんとか相手チームの1点リードという本来の点数で試合を再開することで落ち着いた。こちらの声が小さければ不利な点差を押しつけられていただろう。

 これがエジプト人の交渉力かと妙に納得し、どっと疲れた1日だった。(大内清)

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