経済インサイド

「さようなら。明日飛び降ります」自殺者も発生した中国人・iPhone転売狂騒曲の総決算

 ところ変わって9月19日の大阪・心斎橋。「ちゃんと並べよ」「マナー悪いぞ」

 アップルストアの前で中国人をたしなめるのは、本来並ぶのが苦手な大阪人。

 中国系転売グループは、中国で使えるSIMフリー端末を購入するため、各国のアップルストアに群がった。日本のアップルストアは転売対抗策として、iPhoneで電話番号やメルアドの実態を登録した人に2台まで販売する電子整理券システムを導入。この措置に騒ぎだした大勢の中国人と店のスタッフが押し問答を繰り広げ、警官まで出動する事態に。ゴミをまき散らし、大音響で周囲に迷惑をかけ、行列への大量割り込みも当然のように行われた。

 転売騒動の背景には、iPhone6/6プラス発売が遅れた中国で、いくらカネを積んでも新モデルを人より早く買いたいという裕福層に高く売れるためだ。転売に抵抗がない国民性もこうした事態を助長したようだ。

500万台が中国に流れた?

 転売業者たちがどれだけのiPhone6/6プラスを中国に持ち込んだかを正確に把握するのは難しいが、中国の新華社系暴露メディア「参考消息網」によると、500万台が中国に並行輸入などで持ち込まれたという。先進ハイテク機器や外国製品への底知れぬ「購買欲」を改めて浮き彫りにした格好だ。中国で製造されたiPhoneがアップルを経由して世界中で売られ、再び中国に戻るブーメラン現象は、製造と消費の中国一極集中の構図をはからずも示した。

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