赤字のお仕事

首相演説に嬌声が上がった

 十数年前、当時の小泉純一郎首相が「純ちゃんブーム」で、国民に絶大な人気を誇っていたころでしょうか。

 初校ゲラで「小泉首相の演説が始まると、群衆から嬌声(きょうせい)が上がりボルテージは絶頂に…」という文言が出てきました。

 『産経ハンドブック』には「嬌声=女性のなまめかしい声という意味。『子供たちが嬌声を上げる』などと使うのは誤り」と出ています。

 小泉首相には中高年女性の熱狂的なファンも多数いるので「群衆の中には、なまめかしい声を出した人もいるんだろうな。まっ、いいんじゃないのかな」と、そのままにしておきました。

 新聞早版の刷り出しを見た同僚に「この『嬌声』という表現は誤用では?」と指摘されました。

 「熱烈な女性ファンがいるから、中にはなまめかしい声を出した人もいるんじゃないの」と私。

 それを聞いていたその日のデスクが「やっぱり、『嬌声』というのは変だよ」。

 「小泉信者なら、そういう声を発する人が何人かはいるんじゃないですかね」と私。

会員限定記事会員サービス詳細