先の大戦末期、日本軍の特攻隊員として戦死した韓国人青年を慰霊する「帰郷祈念碑」がやっと安住した。ソウル近郊・龍仁市の法輪寺(尼寺)で今週、ゆかりの女優、黒田福美さんなど日韓双方から十数人が寺を訪れ、ささやかな供養が行われた。
祈念碑は「彼らの魂を故郷に帰したい」という黒田福美さんの発案で6年前に完成した。遺族の賛同も得て、設置は当初、彼女が思いをかけた「特攻隊員・光山文博大尉(本名・卓庚鉉)」の故郷に近い南部の泗川市に予定されていたが、反日派の妨害で除幕式ができず実現しなかった。
祈念碑はその後、法輪寺が引き受け境内に設置された。しかし、2年前にまた反日団体が押しかけ倒してしまった。反対の理由は「日本の戦争に協力した者の慰霊は認められない」というものだが、寺では「仏の慈悲に国家や民族の壁はない」と、このほどあらためて設置し直した。
碑は本来、5メートルの高さだが、寺では上部にあった不死鳥を象徴するヤタガラスの造形物と碑石を分離し碑石は縦に寝かせてある。裏面の碑文は見えないものの、そばには日本語と韓国語で由来が表記されている。碑が寝かされたのは反日への妥協だが、これも知恵である。寺への感謝の気持ちでお布施を出させてもらった。(黒田勝弘)