かがわの会社が「世界最小車いす」 自身の不便さ商品に生かす

 香川県東かがわ市の手袋・キャリーバッグメーカー「スワニー」が世界最小車いすを開発した。生後6カ月でポリオ(小児まひ)にかかり、12年前に車いす生活を余儀なくされた同社の三好鋭郎(えつお)会長(74)が、不便に思った経験を商品に生かし、コンパクト化に成功。「出かける機会が増え、仕事の幅も広がる」と話している。

 三好会長は「ポリオ症候群」のために3年間車いす生活を送った。そこで気づいたのが、市販品は足置きがさまたげになって洗面台に当たる、タクシーのトランクに入らない、駅の改札も通らない-などだった。

 3年を費やして足置きを肘掛けの下に跳ね上げて収納させる仕組みを開発(特許申請中)。座席下にある「Xパイプ」を湾曲させることで座席シートを挟まず、車幅を約7センチ縮めた。さらに、ブレーキを車輪中心部に内蔵して6センチ狭くし、標準的な自走式の市販品と比べ、折りたたんだ全長が25センチ短い73センチ、幅が13センチ狭い22センチのコンパクトな車いすを完成させた。

 「世界最小車いす」は、県の「新商品生産による新事業分野開拓者」に認定され、同車いすを県の施設で使用する場合、100万円分を県が買い取り、販路拡大を支援する。同車いすの価格は7万8千円(非課税)。これまでに介護タクシー運営会社などが購入している。

 三好会長の思いは、売り上げよりも「理想の車いすを世に出すこと」。8年前にX金具を開発したが、既に特許が申請されていることなどから、商品化に至らなかった。

 新商品開発にあたって、大きな戦力になったのが同社のバッグ事業部主任、板東慶治さん(44)だ。「足が不自由でも設計などの仕事ができる」という強みを生かし、三好会長のアイデアをコンピューターの設計図に起こし、商品化へ導いた。板東さんは「こういう車いすを探していたという言葉を購入者から聞いたときが一番うれしかった」と話す。

 同社が障害者向け商品開発に優れている理由は、障害を持つ人と同じ目線で商品開発を行っていること。「障害者に愛されるものは、健常者にも喜ばれる」。その信念が、多くのファンを獲得している。(秋山由美子)

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 ■スワニー

 ▽創業=昭和12年4月▽本社=香川県東かがわ市松原▽従業員数107人(平成26年4月現在)▽事業内容=手袋事業に加え、支える機能があるウオーキングバッグを開発・販売。

 ◎経営方針・社風=自分のために社員とその家族の利益と幸福を実現、社会のために顧客、取引先、株主の信頼に応え、社会の発展に貢献、世界のために独自の技術と英知をもって人類の革新と進歩に寄与する。

 ◇「産経 YouTube 車いす」で動画が見られます。

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