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「ダイソー」と「ダサソー」が争う商標権侵害…「模倣天国」韓国が進める知財保護の皮肉

 日本語でもダイソーとダサソーは1文字違いだが、韓国語はどちらも3文字で表記されるが、1番目と3番目は同じ文字で読み方も同じ。英語表記は前後各2文字は同じで、イの「I」とサにあたる「SA」が違うだけだった。

 高裁判決では、「ダサソーの標章は外見や呼称、観念などを総合的に観察すると、取引上、一般消費者や取引業者がダイソーと誤認、混同する恐れがある」とし、双方の商標は類似していると判断。さらに双方が扱う主要商品と顧客層が重なり、売り場の雰囲気や商品の配列方式は相当類似しているとし、「ダサソーがダイソーの周到性に便乗しようとする意図が推断できる」とも指摘した。

 韓国の聯合ニュースによると、ダイソー側の韓国運営会社の関係者は「ほかの企業のイメージに便乗して利益を上げ、消費者に混乱を与える類似商標問題は根絶されるべきだ」とコメントした。

知財関連の刑事事件倍増という現実

 ダイソーとダサソーの裁判は、知財保護をめぐる韓国の実情を象徴している。

 例えば、ジェトロソウル事務所が2013年7~10月の間、韓国の企業や大学などの研究機関を対象に行った「知的財産活動実態調査」によると、知財保護に取り組む担当組織を設けた割合は増加傾向を示し、企業は59・0%、大学・公共研究所は96・7%に達した。また知財担当の専門スタッフの人件費や教育費も増加傾向を示している。

 自らが真似される立場になって、ようやく知財保護に動き出した格好だが、それでも厚顔無恥に模倣する体質は相変わらずだ。

 韓国特許庁の「2012年知財白書」によると、知財関連での取り締まりで刑事事件として立件したのは前年の139人から302人とほぼ倍増。偽物のバッグや衣類といった不法著作物の押収件数は2万8589件から13万1599件とほぼ4倍に伸びた。特に目立つのが著作権法違反で検挙件数は1万6244件、商標法違反は3211件で、技術開発の成果といえる特許法違反は188件だった。

 取り締まりの成果ともいえるが、悪質な模倣が続いていることの証拠でもある。

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