日本一の過密空港と呼ばれる福岡空港(福岡市博多区)の滑走路増設問題で、国土交通省が21日、空港運営権を民間委託し、その委託益を増設の財源に充てる考えを明示した。同日、福岡市博多区のホテルレガロ福岡で開かれた「福岡空港運営検討協議会」(会長、河部浩幸・九電工相談役)の第4回会合で国交省側が明らかにした。
会合にオブザーバーとして参加した国交省空港施設課長、長谷川武氏は「(増設工事の)財源にめどがたたない。民間委託による対価が入ってこない場合は増設事業は不可能だ」と述べた。
福岡空港をめぐっては、国交省が2500メートルの滑走路を新設する計画を立て、平成24年10月に環境アセスメントを始めた。アセスは27年度に終了し、その後、増設に着手する見通し。総事業費は約1800億円で、国が3分の2、地元が3分の1を負担する。
国交省側は、25年7月に施行された民活空港運営法に基づき、空港運営を地元側に委託し、そこから生じる委託益を、増設の財源に充てたいとしていた。
これに対し、空港地元の政財界は「民間委託が滑走路増設の条件となるのはおかしい。委託の論議と切り離し、すぐに増設工事に着手できるよう、十分な予算を確保してもらいたい」と、国交省や財務省に要望していた。