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昨年4月に始まったこの連載も、はや1年半。観光地や神社仏閣、はたまた県庁と、さまざまなロケ地をめぐってきたが、今回はかつて人々の暮らしに役立ち、現在はドラマなどの撮影場所となって人々を楽しませている産業遺産に行ってきた。
今回紹介するのは、水戸市の外れにある「芦山浄水場」。大正から昭和にかけて増加した人口への対応と、消火設備の充実のために建設された水戸市の水道施設の先駆け的存在だ。20年ほど前まで水戸市の「水がめ」として、市民に「安全で、おいしい水」を供給していた。
濾過(ろか)池とポンプが収められた鉄筋コンクリート造りの建屋、事務所が昭和7年に完成すると、那珂川の中州から取り入れた伏流水を濾過し、1日当たり1万3200立方メートルの水を送り出していた。市民に水を届ける使命を担ってきた建物は頑丈で、東日本大震災でも損傷がなかったとか。
平成5年まで、半世紀以上にわたって水戸市民ののどを潤してきたが、施設の老朽化や新たな浄水場が完成したことなどから、その役割を終えたそうだ。
ロケ地として主に使われているのは、その建屋。外観に西洋風のおしゃれな装飾が施され、2階部分に配されたモダンな丸窓から光を取り入れている。完成当時は、きっとハイカラな建物と評判だったのだろう。
水戸市みとの魅力発進課の平戸正英さんは、「円い窓をはじめ、建物の随所に施されたこだわりのデザインが、いい雰囲気を醸し出しています。ロケの関係者の間では、『水戸市にかっこいい建物がある』と評判なんですよ」と話す。