陸上自衛隊では数人とされる7千時間の無事故ヘリ飛行を更新している。28年間にわたり多用途ヘリ「UH-1」や攻撃用ヘリ「AH-1」を操縦し、現在は飛行班長として災害派遣現場に駆けつけ、若手パイロットたちの育成を担う。
昨年3月、北海道帯広市で民間モーターグライダーが行方不明になり、捜索に加わった。地元の消防防災ヘリなどが飛行を見送るほど風雨のひどい荒天の中、冷静な状況判断と高い操縦技術で現場に急行。この日は発見できなかったが、関係者から称賛された。
操縦士の格付けや夜間飛行の操作技術などを評価する「検定官資格」「NVG検定官資格」を持つ。飛行班長として10年。8人の若手・中堅隊員に、さまざまな状況を想定させ、妥協しない訓練姿勢に周囲の評価は高い。
北海道幕別町で生まれ、親戚に自衛官がいたこともあり、中学卒業後に入隊。尊敬する教官が元ヘリ操縦士だったことから、この道を選んだ。操縦技術だけでなく、機体の構造、気象など常に最新情報を集める。整備班に頻繁に足を運ぶ姿は隊員にも知られている。
東日本大震災当時は、別の部隊に所属していたため、救助活動には参加しなかった。ただ「人命救助に関われたら」という思いはずっと残っていた。