関西歴史事件簿

六角獄舎の集団処刑(上) 未決攘夷派浪士の牢獄に迫る大火…そのとき奉行が命じたのは「全員斬首」だった

斬首すべし

 獄舎内には、古高、平野以外にも「天誅組の変」と「生野の変」で捕えた浪士を数多く抱えていた。彼らの処分について、京都町奉行・滝川の決心は「斬首すべし」の方向ですでに固まっていた。

 まだ刑も決まっていないながら、ここで古高、平野ら危険分子を解き放てば、まさに野生のトラを野に放つようなもの。

 幕府との戦いには負けたとはいえ、まだ天王山など京周辺に多数散らばる長州の残党とともに、再び騒乱を起こすことを滝川は恐れていたのだ。

 滝川の「火が堀川まで来たときは重罪人は切り捨てよ」の命を受けて、火の手が堀川まで迫っているのを見極めた獄舎の役人は「次の者は牢から出ろ」と名前を読みあげた。

 平野や横田友次郎、伊藤竜太郎、木村愛之助らいずれもが「生野の変」のメンバーだった。互いに顔を見合わせた。解き放ちを期待したかもしれない。それとも別の場所に移されるかと思ったことだろう。

 ところが、キリシタン牢の東側まで来たところで平野はビックリしたに違いない。彼らを待っていたのは刀を手にした役人の姿だった。

 夏の日差しも厳しい午後2時ごろだったといわれている。

(園田和洋)

=続く

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