衝撃事件の核心

タクシーは突然急バックし、降車直後の客をはねたままビルに激突した…信じ難き謎の事故、原因となった運転手の特異な癖

 タクシーを誤って後方に急発進させ、降車したばかりの乗客をはねて死亡させたとして、自動車運転過失致死の罪に問われたタクシー運転手の男(53)の初公判が8月上旬、大阪地裁で開かれた。運転手は乗客をはねた後もスピードを一切緩めることなくガラス壁に衝突。「人が挟まっているぞ!」と騒然とする周囲の声も理解できず、運転席でただ呆然(ぼうぜん)としていた。当時、運転手歴わずか2カ月。シフトレバーが「バック」になっていたのが直接の原因だが、その背景として、降車時にシフトレバーを「パーキング」にしないままサイドブレーキをひいて停車する悪い癖があった。

ゆっくりと襲いかかる

 何の前触れもなく、突然の悲劇が男性会社員=当時(26)=を襲ったのは昨年11月14日のことだった。大阪市内のコンピューター関連会社に勤務する男性はこの日、取引先に業務用パソコンを搬入するため、同僚の男性2人とタクシーに乗り、同市中央区城見のビル前に到着した。

 男性は降車直後、重さ約40キロのパソコンを運ぶ台車の到着を路上で待っていた。すると、直前に荷物を下ろしたばかりのタクシーの後部が、ゆっくりと襲いかかってきたのだ。

 突然の事態に、男性は逃げることもできなかった。タクシーに押し出されるまま、数メートル先のビルのガラス壁に頭から衝突。病院に搬送されたが、頭の骨を折っており、間もなく死亡が確認された。

 自動車運転過失致死罪で起訴された運転手は、昨年9月にタクシー業務に就いたばかりで、事故はそのわずか2カ月後に起きた。8月5日の大阪地裁初公判で、運転手は「その通りです。間違いないです」と素直に起訴内容を認めた。

 検察側は冒頭陳述で、タクシーを誤ってバックさせた状況について「シフトレバーがバックに入っていることに気づかず、アクセルを踏んだ」と指摘した。しかし、バックする際は通常、車内に「ピーッ、ピーッ」と大きな音が鳴り響き、ドライバーに警告する。運転経験がある人にとっては、にわかには信じがたい話だろう。

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