安倍首相の「安保ダイヤモンド構想」、対中抑止へ完成間近

 安倍晋三首相とインドのモディ首相との会談で、両国の外務・防衛閣僚協議(2プラス2)設置の検討で合意したのは、海洋進出を進める中国を牽制(けんせい)し、南シナ海やインド洋などの海上交通路(シーレーン)を守る狙いがある。安倍首相は海洋安全保障強化を図るため、日本とハワイ(米国)、オーストラリア、インドの4カ所をひし形に結ぶ「安全保障ダイヤモンド構想」を提唱しており、今回の会談は構想実現に向けた大きな一歩となった。

 ダイヤモンド構想は、首相が第2次政権を発足させた直後に英文で発表した論文「アジアの民主主義 セキュリティーダイヤモンド」で披露した戦略。中国は、バングラデシュやスリランカなどインド周辺国への支援を通じてインドを包囲する「真珠の首飾り戦略」を進めており、首相はダイヤモンド構想が中国と隣接するインドにとってもメリットがあると踏んでいた。

 ただ、インドは伝統的に「非同盟」の外交路線を取っており、特定の国との強い結びつきには慎重な面がある。そこで首相はかねて親交があり、経済政策でも共通点が多いモディ氏との個人的な信頼関係を活用し、インドを日本の安保戦略に引き込んだ。会談では、集団的自衛権行使を限定容認する憲法解釈変更の閣議決定について、モディ氏から支持を得ることもできた。

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