盲導犬「オスカー」刺されけが 卑劣な行為に怒りや悲しみ 埼玉

 さいたま市に住む全盲のマッサージ師の男性(61)が連れていた盲導犬の「オスカー」(雄8歳)が7月、何者かに刺され、けがをした事件。視覚障害者からは「盲導犬に対するいたずらはたくさんある」と指摘する声も上がっている。「いったいどんな気持ちで刺したのか」。卑劣な行為に関係者の怒りや悲しみの声が相次いだ。(菅野真沙美)

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 男性の知人で、NPO法人「アニマルグリーンアップル」副理事の佐藤徳寿(なりとし)さん(43)は、「男性から震える声で『オスカーが刺された』と電話があった」と事件直後を振り返った。

 寝食をともにするオスカーのことを「息子」と呼んでかわいがっている男性は「オスカーを守れなかった」と自身を責めていたという。佐藤さんは「犯人には相応の罰を受けてほしい」と語った。

 また、オスカーが盲導犬としての訓練を受けた公益財団法人「アイメイト協会」の塩屋未来(みき)さん(35)は「事実を知ったときは怒りや悲しみ、驚きが入り交じり言葉にならなかった。どんな気持ちで刺したのか想像もつかない」と憤りをあらわにした。

 塩屋さんによると、一部でオスカーが痛みに耐えるよう訓練されていたため鳴かなかったと報道されていることについて、「協会ではあくまでも『無駄ぼえ』をしないように訓練している。盲導犬も痛みを感じれば人間と同じようにとっさに声が出てしまう」と説明した。「この事件をきっかけに、盲導犬に対する理解を深めてほしい」とも話した。

 視覚障害者からは「今回のようなけがには至らなくても、盲導犬に対するいたずらはたくさんある」と指摘する声も上がった。

 社会福祉法人「県視覚障害者福祉センター」に勤務する全盲の男性(57)は「どうせかみつかないだろうと盲導犬をたたいたり、白杖を折ったり奪ったりする心ない人がいる」。男性自身も常に予備の白杖を持ち歩いているという。男性は「健常者の方には盲導犬や視覚障害者を取り巻いている危険を知ってもらい、手を差し伸べてほしい」と話した。

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