【関西の議論】これは人魚のミイラなのか、高野山の麓に安置される「ミステリー」の正体は…近江国「人魚伝説」と絡み合う秘話(3/3ページ) - 産経ニュース

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関西の議論

これは人魚のミイラなのか、高野山の麓に安置される「ミステリー」の正体は…近江国「人魚伝説」と絡み合う秘話

 滋賀県には、ほかにも人魚伝説が残されている。聖徳太子が人魚の願いにより開いたと伝えられる近江八幡市の観(かん)音(のん)正(しょう)寺(じ)、東近江市の願(がん)成(じょう)寺(じ)には美しい尼僧を慕った人魚のミイラが伝わり、実は3きょうだいだったという説もある。 また、江戸時代にはサルと魚を合わせて人魚のミイラを作る職人がいたといい、大英博物館には日本製の人魚のミイラが所蔵されている。

信仰の対象として現代に語り継ぐ

 願成寺の松尾徹裕住職(53)は「人魚のミイラはグロテスクな顔をしており、夜に泣きだすとか不幸が訪れるなど良いイメージはありません。人魚は妖怪であり怖い存在。お寺がその魂を鎮めるために安置しています」と話す。

 一方、岩橋さんは「人魚は古くから不老長寿、無病息災を願う信仰の対象だった。『心配ごとや願い事があるなら打ち明けてください』と言っているかのような表情をしている」と話す。

 岩橋さんは石童丸の物語を本にし、それを原作にした地元のアマチュア劇団がオペラ劇を上演した。小学生らに親子の情愛の話として紹介するなど学文路苅萱堂の再建だけでなく、伝えられてきた物語の心の継承にも尽力している。

 「高野山が語り継いできた素晴らしい石童丸の物語を絶やさないよう、伝えていくことに生きがいを感じる。『人魚のミイラを見に行ってみよう』でいいんです。でも来た人には必ず石童丸の物語を話します。すると、ミイラも3体の親子の坐像もねぎらいの表情をしてくれるんですよ」

 穏やかな表情で目を細める岩橋さんは徳の高い僧侶のようだった。