【関西の議論】ニセ霊能者「神さんに聞いた。癌と違う」、デタラメ洗脳の悲劇…すがった女性の乳癌は進行し3年後に亡くなった(1/3ページ) - 産経ニュース

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関西の議論

ニセ霊能者「神さんに聞いた。癌と違う」、デタラメ洗脳の悲劇…すがった女性の乳癌は進行し3年後に亡くなった

 「神さんに聞いた。あなたの病気はがんと違う」

 乳がんに倒れた女性は、ニセ霊能者のでたらめな言葉をすがるような思いで聞いたに違いない。「病気を治す」と嘘を言い、兵庫県内の女性=当時(47)=にがん治療の機会を与えず死亡させたとして、女性の遺族が、自称宗教家(66)などに損害賠償などを求めた訴訟の判決が7月、大阪地裁であった。女性はこの男性宗教家の施した「おはらい」を治療と思い込んだというが、宗教家は訴訟で自ら霊能がないと告白。地裁は宗教家に計約6600万円の賠償を命じた。信仰心の強さ故の悲劇だが、現代社会でも宗教に救いを求めるケースは少なくない。

“洗脳”期間3年

 判決によると、女性は夫と子供2人の4人家族。家事と子育てにいそしむ主婦生活に影が差したのは平成19年1月のことだった。

 乳がん検診で左乳房に2・5センチ大のしこりが見つかり、後にがんと判明した。医師には、手術か化学療法のいずれかの治療を選ぶよう告げられた。

 早期がんのため、この時点で女性が適切な治療を受けていれば命が助かる可能性は高かった。ところが女性と夫は、かねてから心酔していた自称宗教家に助言を依頼。これが悲劇の始まりだった。

 宗教家は、女性に胸のしこりについて「神さんのお告げによれば、がんとは違うできものだ」と説明。「医者には治せない。霊能のある私しか治せない」と言い、自身のおはらいを受けるよう勧めた。

 女性は宗教家の言葉を信じ、しばらく手術などを見送ることを決意。おはらいを受けるため、週に1~4回、大阪市阿倍野区にある宗教家の事務所に通うようになった。おはらいは頭や肩をたたくだけの行為で、1回2万円。他に「胸に光を入れる」と女性をあおむけに寝かせ、胸の上に手をかざすこともあった。

 ただ、宗教家は特殊能力も医学的知識も持ち合わせてはいなかった。女性の病状は21年6月には、手の施しようがない末期がん(ステージIV)に進行。しこりは10センチ大になり、乳頭からは膿や血が出るようになった。

 医師は抗がん剤治療を受けるよう女性と夫を強く説得した。それでも、宗教家は「できもんを小さくするためには膿は出さなあかん」「元は背骨が悪い。病院は背骨なんか見ないから乳がんと言う」などと女性を洗脳し続けた。女性は抗がん剤治療を拒み、比較的副作用の少ないホルモン療法を頼った。