佐野市に伝わる伝統芸能で同市無形民俗文化財「芦畦(あしぐろ)の獅子舞」を後世に伝えようと、初めて女子中学生3人が横笛担当としてお囃子(はやし)に加わる。後継者難で白羽の矢が立ち、女性の参加は初めて。31日は10年に1度の大祭。3人は連日、猛練習に励んでいる。(川岸等)
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芦畦の獅子舞は約750年前から同市並木町の花岡地区で、五穀豊穣(ほうじょう)や厄よけ祈願として続けられ、獅子頭姿の舞子がお囃子に合わせて舞い踊る。毎年開かれる例祭と10年に1度の大祭があり、今年は大祭が開かれる年だ。
本来、「跡取り(長男)の祭り」だったが、約30年前から若者の市外流出や少子化の影響で人材不足になり、後継者育成が課題になっていた。今年春、地元町会の総会で「祭りを継続するには後継者確保が急務」と女性参加の解禁を決めた。
町会の呼びかけに「興味があり、やってみたかった」と、石川陽香(はるか)さん(15)=佐野西中学校3年、椎名杏果(きょうか)さん(13)=同校1年、星野早紀(さき)さん(13)=同=が名乗りを上げた。3人は部活動や塾の合間を縫って、連夜、地元の公民館で指導を受けている。
3人とも当初、「音を出すのが難しい」と慣れない横笛に苦労したが、町会で制作した練習用DVDも参考にして上達。大祭委員会の船渡川政義委員長(67)は「予想以上に覚えが早い。地元で生まれ育ち、笛の音が染み込んでいるのでしょう」と目を細める。
31日の大祭では地元の神社などで、男性の横笛担当7人とともにお囃子の演奏を披露する。3人は「舞子がきちんと踊れるよう上手に吹きたい」と話している。