岡田敏彦の軍事ワールド

「撃たれた小隊長を見捨て、兵士は逃げた」韓国兵士乱射脱走事件から見えた軍の暗部…徴兵制での壮絶いじめ、問題視される前近代性

仲間を見捨てる兵士たち

 しかし、この銃撃戦でとんでもないことが明らかになる。朝鮮日報(電子版)は、小隊長が負傷した際、同じ場所にいた兵士らが小隊長を見捨てて逃げたという住民の証言を紹介。小隊長が負傷すると、建物屋上で待機していた兵士3人が慌てて飛び降り、逃走したという。大口径迫撃砲や空爆ならともかく、小銃での銃撃戦で仲間を見捨てたことになる。

 イム兵長は23日午後3時ごろ、自殺を図ったところを取り押さえられ、逃亡時の様子を軍当局に供述したが、これがまさに爆弾発言で、問題をさらに広げることになる。

 供述によると、捕獲時に起きた数度の銃撃戦は全て、捜索部隊による「同士討ち」だったというのだ。韓国KBSニュースやYTNテレビによると、イム兵長は「持っていたK2小銃は故障した」と証言。自殺しようとしたときも、故障で撃てなかったという。つまり、逃走兵士は撃てる状況になかったのに味方同士で撃ち合い、一歩間違えれば大惨事になっていたというのだ。

 K2小銃といえば、韓国が高級センサーなどさまざまな装備を全部載せで開発した兵器。このため最新鋭ながら重過ぎて満足に作動せず、いったんは軍から納入を拒否されたいわく付きの銃だ。

 ただし今回は故障が幸いした。最初から故障していれば事件も起きず、なおよかったのだが、撃てたり撃てなかったりと安定性に欠けるところがいかにも韓国産らしい。

 いかにずさんな捕獲作戦だったかが分かるが、問題はさらに広がりを見せる。捜索部隊が3回にわたってイム兵長を見逃していたことを軍関係者が明らかにしたのだ。

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