安倍政権考

三日月氏勝利で安倍政権の潮目は変わったのか

 13日投開票の滋賀県知事選では自公両党が推した元経産官僚が敗北、民主党元衆院議員の三日月大造氏(43)が接戦を制した。この結果をもって安倍晋三政権の潮目が変わったという論評もある。果たしてそうだろうか。

 告示後に集団的自衛権の行使容認に関する与党協議がまとめられ、閣議決定された直後から内閣支持率は下がっている。セクハラやじ問題も自民党のゆるみだという指弾もあった。無党派層も動かず、自民党閣僚経験者が「滋賀県知事選は、頂門の一針だ」と警鐘を鳴らしているのももっともだ。

 友党である公明党の実動部隊の足も鈍りがちだった。公明党と支持母体の創価学会は、集団的自衛権の問題にはかねてから慎重だった。与党合意に至った経緯を党内でしっかりと納得する時間が足りず、一進一退の選挙情勢に焦った官邸筋からてこ入れ要請が頻発されたにもかかわらず、「公明党が必死のF(フレンド票)取りをしたような感触はなかった」(自民党幹部)という。

 福島県知事選(10月26日投開票)、沖縄県知事選(11月16日投開票)と滋賀より難しい地方選は続く。公明党からの協力が得にくくなり、無党派層が戻らずにこれらの地方選で連敗すればいずれ-というのが潮目論を組み立てている主な柱だ(内閣改造人事での失敗、スキャンダル、危機管理上の判断ミスなど潮目を作り出す要素はほかにも限りないが、これら不測の事態は今は置く)。

 公明党が、国際情勢に照らして集団的自衛権問題で合意できたことは安全保障分野にとどまらない意味があるように思える。公明党は平和と福祉を二枚看板にやってきた。たとえ防衛庁の省昇格といった機構改革であっても、党内議論の過程で「これが集団的自衛権行使容認への道を開くものではない」と確認する作業があったほどナーバスだった。

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