スポーツ異聞

38年たってNHKも認定!? 〝世紀の茶番〟は〝伝説〟に 「猪木・アリ戦」が今、よみがえる 

 格闘技史上、伝説の一戦といわれる「6・26決戦」が完全版DVDとしてよみがえり、ファンを超えて話題になっている。昭和51(1976)年6月26日、アントニオ猪木対世界ヘビー級王者、モハメド・アリの一戦である。あれから38年、全15ラウンドをノーカットで収録した『燃えろ!新日本プロレス 猪木vsアリ 伝説の異種格闘技戦!』(集英社)が刊行された。当時、プロレスへの偏見もあり、マスコミはこぞって「世紀の茶番」などと酷評した。しかし、改めて映像で確認すると、真剣勝負の迫力が十分過ぎるほど伝わってくる。70歳を過ぎた日米の両雄の栄光と苦悩の歳月がよみがえる。

 ■30万円のプラチナチケット

 「20世紀最大のスーパーファイト」-。空前の異種格闘技戦はアリの来日前後から異様な雰囲気に包まれていた。アリが「猪木を8ラウンドでKOする」と挑発すれば、猪木は「プレゼントがある」と松葉杖を差し向けるなど、執拗なまでの舌戦が展開された。

 微妙な空気をはらみながらも日本中が戦いの行方に気をもんだ。「伝説のDJ」糸居五郎が深夜のラジオ放送で「きょうは猪木・アリ戦が行われます」と語りかける中、決戦の朝を迎えた。

 異種格闘技のはざまで、もめたのがルールの適用だ。プロレスラー猪木に不利なルールが課されたが、ファンには十分な説明がないままXデーに突入した。猪木が講じたのは寝転び作戦。まさに想定外の戦術だった。「ボクサーは足が弱点」と読んだ猪木側が打ち出した秘策によって、両者が激しく打ち合うシーンは消え、時間だけが過ぎていった。

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