英国王室物語

今も残る第一次大戦の傷跡 英霊たちへの追悼

 2014年6月6日、すがすがしい黄緑色の帽子とコートに身を包んだエリザベス2世女王は、フランス北西部ノルマンディー海岸のスウォード・ビーチに到着した。70年前のこの日、「史上最大の作戦」と言われたノルマンディー上陸作戦が決行され、英国第3歩兵師団が上陸に成功したが、683人の犠牲者を出した。

 今年はこの作戦から70周年ということでフランスのオランド大統領をホスト役に、エリザベス女王をはじめ、アメリカのオバマ大統領やロシアのプーチン大統領が訪仏し、ドイツのメルケル首相やイタリアのナポリターノ大統領らかつての「敵国」の首脳たちとともに英霊たちの追悼記念式典をしめやかに執り行った。

 エリザベス女王の場合には、これを機に5度目のフランス公式訪問も行った。6月6日の晩にはエリゼ宮殿(大統領官邸)で盛大な晩餐(ばんさん)会が行われた。「悲しみと遺憾をもってかくも多くの若き兵士たちの命が失われたことを思い、誇りをもって海岸になだれ込んだ者たちの誠の勇気をたたえたい」と女王は演説のなかで70年前の出来事を振り返った。

 第二次世界大戦では、590万人近い英国民が動員され、26万人の兵士と9万人以上の民間人が戦死。これにカナダやオーストラリアなどの国々も併せれば、英連邦全体で1000万人が動員され、37万人以上の兵士が亡くなっている。

会員限定記事会員サービス詳細