はなしのぶコンサートあす卒業 熊本・阿蘇野草園

 阿蘇固有の植物「ハナシノブ」の開花シーズンに合わせ、阿蘇野草園(熊本県高森町)で毎年6月に開催されてきた音楽祭「はなしのぶコンサート」が、22日の公演で34年の歴史に幕を下ろす。さわやかなマンドリンの音色を響かせ、初夏の阿蘇の風物詩として親しまれてきたが、演奏の主役となる高校生が少なくなり、運営が難しくなった。実行委メンバーは有終の美を飾ろうと、準備に奔走している。(谷田智恒)

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 コンサートは昭和56年6月、高森町のハナシノブ自生地で、地元有志がハナシノブにささげる演奏会を開いたのがきっかけ。「人と野の花の交流」と話題になったが、直後にハナシノブが盗掘されるトラブルが発生したという。

 そこで、野の花の美しさと大切さを広く訴えようと、地元有志や県内の植物学者らが実行委員会をつくり、翌年6月、会場を同町の阿蘇野草園に移し、「はなしのぶコンサート」と名付けて開催した。以来、毎年6月の第4日曜日の恒例音楽祭として、阿蘇の地に根付いてきた。

 コンサートは、清楚(せいそ)なハナシノブとマンドリンの音色がぴったりと合うと、熊本市中央区の尚絅(しょうけい)中学・高校ギターマンドリン部が演奏を担ってきた。同部は60年5月の全国植樹祭の際、阿蘇野草園を訪問された昭和天皇の前で組曲「はなしのぶ」を演奏。昭和天皇は後に「はなしのぶの歌 しみじみ聞きて 生徒らの 心は花の如くあれと祈る」と歌を詠まれた。

 コンサート鑑賞のツアーも旅行会社が企画するなど、ピーク時には3千~4千人の来場者があった。コンサート実行委は平成15年、自然環境功労者として環境大臣表彰も受賞した。

 しかし、伝統ある同部に変化が訪れた。40~50人いた部員が最近は減少し、今年は新入部員を入れても7人足らず。実行委は外部の演奏家参加など打開策も検討したが、最終的に今年限りでコンサートを終えることを決めた。

 実行委員長を務める熊本大名誉教授の内野明徳氏(69)は「コンサートを通して、野の花の大切さを人々に伝える目的は達成したのではないでしょうか。今年でコンサートは卒業するが、ハナシノブなど多くの野の花が、阿蘇の原野で美しく咲き続けることを見守り、手助けをしたい」と語った。

 ラストコンサートは22日午前10時半から、同町高森の休暇村南阿蘇内にある同野草園(雨天の場合は町民体育館)で開演。尚絅中学・高校のOGや熊本大マンドリンクラブも参加し、盛り上げる。午後1時半からは「花とあそぼう」と題して、野草園の自然観察会もある。無料。問い合わせは同休暇村内の実行委(電)0967・62・2111。

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