イグサの香りの成分に血小板の凝集を防ぎ、血管の詰まりをなくす作用があるヒトのt-PA(血栓溶解因子)の生産量を高める効果があると、倉敷芸術科学大生命科学部の須見洋行教授(69)らが発表した。香り成分を利用したアロマセラピーなどによって血栓を防ぎ、脳梗塞(こうそく)や心筋梗塞の予防効果が期待できるという。
倉敷市の老舗イグサ製品メーカー「沖宗」が、納豆から血栓溶解酵素「ナットウキナーゼ」を発見したことで知られる須見教授に平成23年末、研究を依頼。同社が扱う農薬不使用の熊本県産イグサを低温のエチルアルコールに一定時間浸して香り成分を抽出し、成分のヒトの細胞に対する効能を調べた。
その結果、香り成分を2分の1に薄めて投入した場合で、ヒト細胞のt-PA生産量が「通常状態と比べて20倍以上の数値があった」(須見教授)という。
同社は、この香り成分を「イグサリュパミン」と命名し、4月に特許を取得。エッセンシャルオイルなど心身を癒やす新製品の開発を進めている。
同社の溝手久弥取締役(45)は「今回の実験結果で、イグサの香りが健康面でも良いことが実証された」と話している。