ふるさと納税、震災後に急増 被災3県の復興に一役

 出身地や応援したい自治体に寄付する「ふるさと納税」。東日本大震災で被災した岩手、宮城、福島の3県では、震災を機に寄付金額が急増した。震災から3年が経過し、減少傾向の自治体もあるが、「応援メッセージ」とともに届けられ、復興に一役買っている。寄付への返礼品の贈呈を再開した自治体がある一方、被害が大きく「ふるさと納税」の休止を余儀なくされている自治体もある。

 ■風化防止に活用

 岩手県へのふるさと寄付金(納税)は、平成21年度の約55万円(13件)から、震災が発生した22年度は約1300万円(162件)に増加。23年度は約4億4900万円(5846件)、24年度は約2億2900万円(3182件)、25年度は約1億1400万円(2004件)だった。

 宮古市では、22年度は10万円(1件)だったが、23年度は約2億500万円(680件)に急増した。24年度は約5900万円(301件)、25年度は約3800万円(272件)で、市は寄付金を元に基金を設立。震災遺構として保存が決まっている「たろう観光ホテル」の維持管理費にも充てる方針で、震災の風化防止などに活用する。

 釜石市では、21年度は約190万円(12件)だったが、22年度は約5200万円(8件)、23年度には大口の寄付もあり、約10億5200万円(831件)に膨れあがった。24年度は約1億4800万円(422件)、25年度は約4400万円(300件)。25年度は教育振興など使途が指定された寄付金はそれぞれ別の基金に組み込まれた。このため、復興目的の寄付金だけを集計した額だが、市の担当者は「基金への寄付を合わせても額は少なくなっている」と話す。

 陸前高田市は震災の影響で、寄付への返礼となる地場産品の贈呈などが困難になったとして、ふるさと寄付金を休止し、同様の税額控除を受けられる義援金や災害復興寄付金に限定。市の担当者は「復興の中で市でも特産品がたくさん生まれている。市のPRにもなる『ふるさと納税』はいずれ再開したい」と話す。

 宮城県へのふるさと寄付金は、21年度は約80万円(8件)、22年度は約1189万円(228件)、23年度は約1億6413万円(2393件)と震災を機に急上昇。24年度は約3477万円(450件)、25年度は約4663万円(393件)だった。

 ■返礼で「産品PR」

 寄付への返礼として物産品を贈る特典制度をめぐっては、全国で競争が過熱気味となった。総務省が昨年9月に「適切に良識をもって対応する」よう求めたが、沿岸の被災市町では、特典を通じて地場産品をPRし、地域活性化につなげたい考えがある。

 女川町では、5千円以上の寄付者にクオカード(500円分)、さらに2万円以上の寄付者にサンマの加工品など1千円相当の産品を贈呈。寄付金額は22年度の148万円(11件)に対して23年度は約1442万円(89件)に増えた。24年度は約2084万円(176件)、25年度は約2772万円(422件)と増加傾向にある。

 東松島市では、22年度の約1166万円(235件)から23年度は約1392万円(396件)に増加した。24年度は約1152万円(363件)、25年度は約1080万円(167件)。震災で特典制度を休止していたが、4月から再開し、1万円以上の寄付者に焼きノリなど2千円相当の産品を贈っている。「地場産業の振興にもつながる。物産品を提供しながら、復興状況を発信していきたい」と市の担当者は話す。

 ■温かいメッセージ

 福島県へのふるさと応援寄付金は、21年度の約216万円(67件)に対し、22年度は、3月末までの2週間ちょっとの間に寄付が相次ぎ、約1116万円(203件)に急増した。

 23年度には、約2億7430万円(4280件)まで膨らんだが、24年度は約1億4663万円(1817件)、25年度は約7901万円(1352件)。

 「果物や旅行、スキーなどでお世話になってきた。元気な心のふるさとであってほしい」(東京・男性)「家に帰れない避難者を思うと胸が痛む」(宮城・女性)など、多くの温かいメッセージが送られている。

 市町村向けのふるさと寄付金は、23年(暦年)が約4億4526万円(3746件)、24年が約4億6845万円(2500件)、25年が約3億8274万円(3112件)。このうち、東京電力福島第1原発が立地し、帰還困難区域など抱えて長期の避難が続く双葉郡の8町村は、件数、金額ともに市町村全体の約1割を占める。件数では25年が313件で最も多く、「将来の復興のためにと支援してくれる人が多いようだ」(県市町村財政課)という。

 こうした中、中通り地方の大玉村は、寄付者に温泉利用券などを贈る特典制度を5月から始めた。4千円以上なら半額、2千円なら全額相当分で歳入には結びつかないが、「原発事故の風評被害が残るが、村の魅力を知り、観光にも来てほしい」(村商工観光係)とアピールする。

会員限定記事会員サービス詳細