■初のエネ庁調査
原発の運転停止に伴う敦賀市と美浜町への経済的影響について、経済産業省資源エネルギー庁が実施した調査概要を、敦賀市は16日、市議会に報告した。現状の影響に加え、将来の停止継続による予測も含めれば、両市町への影響は100億円規模に上る。市によると、エネ庁が同様の調査を行うのは全国で初めて。
調査は今年2月、両市町にある4774事業者を対象に郵送によるアンケート形式で実施し、549(11・8%)事業者から回答を得た。
調査概要によると、運転停止で作業員の流入減少を要因とした地域経済への現在(平成24年度)の影響は約5・8億円。計930人の作業員が、原発の定期検査に従事する期間(90日換算)に飲食など1日分の消費6870円を掛けた額として算出された。
一方、原発を保有する電力会社による両市町への直接的な支出などがもたらす経済影響についての予測もある。時期を明確とせず、原発停止が今後も継続した場合の想定では、東京電力福島第1原発事故前の22年度比で、最大約95億円の影響が出る可能性がある。
これらの影響結果や将来的な予測を踏まえ、市は有効な経済対策を打つほか、国に対する支援も求める。
短・中期的には7月20日に全線開通する舞鶴若狭自動車道の関連事業やJR6社が27年秋ごろに展開する北陸3県キャンペーン効果により、28年度に計約13万3千人の市への誘客を目指し、定検作業員の減少影響に対処する。可能性としてあり得る原発の停止継続などを視野に、企業誘致の新産業団地の整備やエネルギー成長戦略特区への積極的な関与などを進め、原発関連財源に過度に頼りすぎない安定的な産業構造の構築を図る。
市の中島正人理事(企画政策担当)は「これまでは事業者の景況感調査が中心だったが、今回の概要結果は国が示した実証的で根拠のある数値。今後、市独自の経済対策を講じるとともに、国への支援などもを要望する」と話した。