以上は、これまであまりに当然のこととされてきた説明だが、奇妙なのは、にもかかわらず、「憲法は国家権力を縛るためのもの」とする理屈がメディアや識者に広がり、一定の影響力を持ちつつあることだ。しかも、「上から目線」で安倍晋三首相や自民党は「憲法が何たるか分かっていない」だの、「反知性主義」だのと批判している。
しかし、そう主張する人たちは一方で、社会主義を信奉したり、「格差社会」をもたらした、と「小さな政府」論を批判してきてはいなかったか。「反知性主義」はどちらの方なのか。言論の倫理に関わる問題でもある。(やぎ ひでつぐ)