■復活のめどは立たず
かつてはゴールデンウイークなど家族連れでにぎわった、和歌山市の加太潮干狩場と片男波潮干狩場の潮干狩りが、今年も中止になった。平成20年に大阪湾で発生した二枚貝の貝毒による風評被害などに加え、環境変化などで貝の数が減少。5年以上潮干狩りが行われない状態が続いている。実施条件も厳しくなっており、今後も復活するめどは立っていないという。「今年も潮干狩りはないの?」との問い合わせもあるといい、初夏の風物詩の中止を残念がる声があがっている。(兵頭茜)
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中止は、加太潮干狩場は6年目、片男波潮干狩場が5年目となった。最盛期には約2万人の潮干狩り客が訪れたという加太潮干狩場を管理する加太漁協の担当者は「平成20年に大阪湾で貝毒が発生してから、来場者が減ってしまった。それ以降も潮干狩り実施のための条件が厳しくなり、採算がとれなくなった」と話す。
片男波潮干狩場では、21年から中止。貝毒の影響に加え、漁場の環境変化によって貝の数が減少したり、エイなどによる食害が発生したりしたことが要因。管理していた和歌川漁協は今年3月に解散。エイなどから守るため浜にネットを張るなど対策を行ってきたが、「解散した以上、漁協が潮干狩りを実施することはない」とし、潮干狩りの復活は漁場を引き継ぐ団体などの意向にもよるという。
和歌山市の潮干狩りスポットとして市民や観光客に親しまれてきた両潮干狩場。県観光振興課によると、「現在、県内で本格的に潮干狩りができる場所はない」といい、潮干狩りも、かつてのように身近なレジャーとはいかなくなった。