議事録を読んだ政府関係者は、「閣議後の記者会見で閣僚が説明している内容と変わらない」とした上で、「役所から渡されたペーパーを読み上げる閣僚がほとんどということだ」と打ち明ける。
週2回行われる定例閣議の開催時間はおおむね10~15分。その後の公務日程が続くため、議論のための時間が十分に確保できない事情もある。
また、国の安全を脅かす恐れがある議事録は、情報公開法に定めた「不開示事由」に該当するため非公開にできる。さらに公開される議事録は事前に発言者の了承を得る必要もあるため、1日の議事録についても実は公開していない閣僚間の会話がある可能性がある。
稲田朋美行政改革担当相は閣僚出席の全ての会議の議事録作成を義務付けるよう、公文書管理法のガイドラインを改定する意向も示した。
閣僚を構成員とする政府の会議は現在172あるが、今後は発言者名と発言内容の明記を義務付けるものの、全ての発言を記載するのか、要旨にとどめるのかは各省が判断する方向で調整している。議事録公開の適否も各省が判断する方向のため、外交・安全保障の基本方針を協議する国家安全保障会議(NSC)の議事録などは非公開となる可能性が大きい。
議事録公開は民主党や公明党などの要請もあり、政治の透明性を確保するため実現したものだが、紙の読み上げのような議事録公開が続けば、逆に政治への不信を招くことになりかねない。(石鍋圭)