安倍晋三首相が「歴史的な一歩を刻むことになった」と誇らしげにアピールした閣議の議事録公開だが、ふたを開けてみれば各閣僚の発言は事前に政府内で調整した文章を読み上げたような形式的な中身に終始した。しかも出席した19人のうち過半数の10人は一言も発言しておらず、以前から指摘されていた「閣議の形骸化」が逆に浮き彫りになる形となった。
「ただ今から、閣議を開催いたします」
進行役を務める菅義偉(すが・よしひで)官房長官の一言で幕を開けた1日の定例閣議。この日の議論の目玉は「防衛装備移転三原則」の閣議決定だった。
しかし、議事録をみると、菅氏の指名を受けた小野寺五典(いつのり)防衛相らが「わが国を守り抜くための必要な諸施策を、より一層積極的に推進していく所存だ」などと政府の公式見解を述べただけ。事前に用意された文言をそのまま読んでいるとしか思えない硬い表現が並んだ。
この日の閣議では同日からの消費税率引き上げも話題になったが、増税後の影響や対策について麻生太郎財務相、甘利明経済再生担当相、新藤義孝総務相、田村憲久厚生労働相が紋切り型の発言を繰り返して終わった。閣議後、自由に意見交換する場とされる閣僚懇談会でも、新藤、麻生両氏がそれぞれ省の取り組みを紹介しただけだった。