22日に控える調査捕鯨、延期の可能性も 求められる戦略的情報発信

 日本の南極海の調査捕鯨を国際捕鯨取締条約違反と認定した国際司法裁判所(ICJ)の判決を受け、4月22日に控える北西太平洋の調査捕鯨が延期に追い込まれる可能性が出てきた。従来の手法で実行し反捕鯨国から提訴され再び負ける可能性があると、政府内で慎重論が強まっているためだ。政府は「科学的調査」という正攻法でアピールしてきたが、調査捕鯨を「科学を装った商業捕鯨」とみる欧米の感情論に対抗できるような戦略的な対外発信などの政治的駆け引きが課題となる。

 水産庁幹部は15日、「北西太平洋の調査捕鯨も訴えられる危険がある」と語った。菅(すが)義(よし)偉(ひで)官房長官は15日の記者会見で、今後の調査捕鯨の進め方について「判決を精査し、政府方針を出したい」と述べ、22日までに明示する考えを示し、政府高官は「今、捕鯨問題に一番頭を痛めている」として厳しい判断を下す可能性を示唆した。

 日本の調査捕鯨のうち、南極海については3月31日の判決を受け、平成28年初めの再開を目指し計画の見直しを進めている。

 南極海の調査捕鯨をめぐる裁判で、政府は科学的根拠を前面に打ち出すことで、感情論で訴えるオーストラリアを論破する法廷戦術を取った。米国の反捕鯨団体「シー・シェパード」による調査捕鯨の妨害行為も日本にとって有利との読みもあった。

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