話の肖像画

タレント・高田純次(67)(1)大学受験の失敗が人生の転機

 俺が好きなタレントに名前を挙げられているって? それはおかしい。うちの事務所が金を使って、雑誌に「そう書いてくれ」と言っているんじゃないの。そんなことを言っている人は少し、人生悩んでいるのかな。俺のようになりたいなんて言う人には、「やめなさい」って言うようにしているんです。

 だって、本当に不本意な人生ですよ。実を言うと、俺はまじめな人なんで、もっと世のため人のために、東京ガスで専務あたりまで駆け上がれたらいいな、なんて思っていたときもあったんですからね。いつも「一生、東京ガスに骨を埋めたかった」なんて言っているんだけど、なかなか東京ガスからはコマーシャルの話が来ない(笑)。

 〈とぼけたキャラクターの「適当男」としてテレビ、コマーシャルでおなじみ。なぜ東京ガスが出てくるかというと、父親が東京ガスを定年まで勤め上げたからだ〉

 親父(おやじ)は俺の芝居を一度も見に来ませんでした。何をやっているのか分からなかったんじゃないですか。まともな人間は会社に行って、会社のために働いて給料をもらうという考えしかなかったから。だから、どこから金をもらっているのか分からなかったらしく、俺がテレビに出始めたころに会ったら、「テレビ局が直接お前に金をくれるのか」と聞くんだ。会社員以外の世界が全然分かっていなかった。当時は、そういう考えが普通だったでしょう。普通の人間だったら、会社に行って、仕事をこなして給料もらうのが当たり前。今は生き方も多様で、誰が何をやってもそれほど驚かないけど、当時はそうじゃない。そんなときに芝居で食おうなんて、もう「アウトロー」の世界ですよ。