浪速風

成人になる諸君!まだ仮免許なのだ

「成人の日」が近づくと、サントリーの新聞広告を思い出す。「二十歳の諸君! 今日から酒が飲めるようになったと思ったら大間違いだ。諸君は、今日から酒を飲むことについて勉強する資格を得ただけなのだ。仮免許なのだ」。作家の山口瞳さんの「人生仮免許」と題したエッセーである。

▶4月1日付の「新入社員諸君!」とともに昭和53(1978)年から毎年シリーズで掲載された。「酒は愉快に飲めと言いたい。愉快に飲むためには、他人に迷惑をかけてはいけない」「本当の酒の味がわかるのは、苦しみつつ、なお働いた人たちだけなんだ」など、どれも金言である。

▶今年の成人式でも、酔って傍若無人な振る舞いをする若者がいるのだろう。甘やかす周囲も悪いが、勘違いもはなはだしい。大人の門をくぐったばかりで、まだ仮免許なのだから。酒の飲み方だけでなく、学ぶことはたくさんある。山口さんはこうも言っている。「諸君! この人生、大変なんだ」