正論

津軽海峡を全面領海にして守れ 東海大学教授・山田吉彦

 2000年、中国海軍の艦船がわが国を挑発するように津軽海峡を一往復半して通り過ぎ、08年にも4隻の艦船が通過した。公海上であることから、わが国はこうした行動になす術もなく、黙って眺めているほかなかった。

 外務省は、「国際交通の自由を保護するため」これらの海峡の中央部を公海としている、としている。だが、他国の海峡の例を見ると、どうも様子が違う。

 マラッカは3カ国が領海に

 インドネシア、マレーシア、シンガポールに挟まれたマラッカ海峡は、年間9万隻余の船舶が通る海上交通路(シーレーン)の要ながら、沿岸3カ国は領海に組み入れている。国際的に重要だからこそ、沿岸国が責任を持って管理する必要があるとの判断である。国際海事機関(IMO)のルールにも則って分離通航帯を設け、通航する船舶を守っている。

 日本が5海峡の領海幅を3カイリとする理由は、領海内を他国の核兵器搭載艦船が通過した場合、非核三原則(核兵器の持ち込み禁止)に抵触するという厄介な問題が生じるからだといわれる。

 だが、領海法制定から40年近い歳月が流れ、津軽海峡を取り巻く状況も変化している。国内船舶では、北海道と青森を結ぶフェリーが1日約20往復するほか、函館のイカ釣り船、大間のマグロ船などの漁船が縦横に走り、もともと海難事故が後を絶たない。